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〜ダンボールコンポスト使用体験記〜
世帯は消費の単位である。毎日、食料はもちろん、各種の商品、情報、サービス等を消費し、その便益によって生活を成り立たせている。その消費の結果として必ずゴミ(=廃棄物)が出る。ゴミとはその世帯ないし世帯を構成する個人にとって無価値な有形もしくは無形物である。役に立たない〔と思う〕から捨てるのである。 無形のゴミの代表格は携帯電話やパソコンに蓄積する不要メールやファイルの類である。これらは「ゴミ箱」に移動して削除すれば瞬時にして無化するから処理コストは問題にならない。ところが、有形のゴミとなるとそうはいかない。人類史上空前の消費社会から排出されるゴミの量はおびただしく、その処理コストは財政的にも環境的にももはや耐えがたいものになりつつある。 とくに、食事という人間の生存にとって不可欠な営みから排出されるゴミ、いわゆる生ゴミの処理には問題が多い。生ゴミの平均約80%は水分といわれる。これを可燃ゴミとして焼却処理すれば、大量の化石燃料を使いしかもその結果地球温暖化に直結するCO2を排出しながら水を燃やしていることになる。何というムダ!そう遠くない昔、われわれはそのようにして生ゴミを処理していなかった。いや、生ゴミという言葉さえなかったろう。多くの場合、生ゴミは土に戻されて肥料となり、あるいは家畜の餌となった。生ゴミは「資源」だったのだ。 しかし、実際問題、戦後急速に都市化した日本の社会では、生ゴミを埋め戻すにも土がなく、餌として与えるべき家畜も姿を消してしまった。犬猫でさえ、専用のペットフードしか食べない時代なのである。だから、生ゴミ処理のあり方に大きな疑問を抱いていても、庭付きの家を持たない都市住民は不承不承食べ物の残りをゴミ袋に入れて自治体による処理に委ねざるを得ないのである。 私もそのような都市住民の一人であった。郊外の庭付き住宅に住んでいればコンポストという手があることはよく知っていた。食べ物の残りや余りがゴミとならずに手軽に堆肥となるのだから、野菜や花卉栽培に興味がある私は必ずコンポストの愛用者になっていたことだろう。ところが、今はマンション住まい。少々広めのベランダに所狭しとプランターを置き、野菜や花を作ってはいるが、とてもコンポストを置く余地はない。 そのようなとき、住まいがある福岡市東区箱崎に隣接する筥松地区に循環生活研究所というのがあり、段ボール・コンポストを研究・販売していることを知り、早速連絡を取って購入、使用を開始した。段ボール・コンポストの構造は簡単だ。ピートモスともみがら燻炭を混合したものを段ボールに入れて、黒い袋をかぶせただけのものである。 正直なところ、当初は、これで本当に生ゴミを分解するか、生ゴミ特有の臭いが出ないのか、半信半疑だった。敢えて近所の魚屋さんから青魚のはらわたを大量にもらってきて入れたりもしてみた。夫婦二人暮らしのわが家はもともと生ゴミが少ないものだから、わざわざ友人知人や1階のレストランから生ゴミをもらったりして、平均以上の生ゴミ投入量を確保した。 するとどうだ、臭いはほとんどしないし、2〜3日もすればほとんどのゴミが原形をとどめないほど分解されていく。何よりも驚くのは、コンポストの内容物の容量が増えないことである。これは生ゴミのほとんどが水分であることの証左であろう。かくしてわが家から出るゴミから生ゴミはほぼ消える結果となった。 まだ、堆肥化にまでは至っていない。3ヶ月を経過した時点で堆肥化にかかる予定である。せっせと毎日投入し混ぜ返した生ゴミが豊穣な堆肥となって美味しい野菜や堆肥を育て、われわれの食卓を飾ってくれる。これこそが循環(=リサイクル)である。こうした循環型生活を都会のマンションでも可能にしてくれる段ボール・コンポスト。私は「循環型社会への革命的ツール」と呼びたい。そして、できるだけ多くの人にそのすばらしさを伝えていこうと思う。
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